何が起きたか
厚生労働省は2026年10月26日の社会保障審議会介護保険部会に、給付と負担に関する資料を示した。論点の一つが、利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準である。
現在の基準は、合計所得金額160万円以上で、かつ年金収入とその他の合計所得金額が単身280万円以上、夫婦世帯346万円以上の場合となっている。部会は2025年12月の意見で、高齢者の生活実態や医療保険の見直しなどを踏まえて検討を続け、第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度〜)の前までに結論を得るのが適当だとしていた。
2025年の議論で示された機械的な選択肢は、次のようなものだった。
- 単身の基準を260万円から230万円まで(夫婦世帯は326万円から296万円まで)下げる案で、被保険者の上位約25%から約30%に当たる
- 配慮措置の一つとして、新たに負担が増える人の増加額に、当分の間、月7,000円の上限を設ける案
- もう一つの配慮措置として、預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す案
今回の資料は、介護費用の総額が2026年度予算で14.6兆円となり、制度の創設時から約4.0倍になったことも示した。第1号保険料の全国平均は第9期で月6,225円である。
現場への影響(よむケアの見方)
資料には、前回の部会での意見も載っている。現役世代の負担を理由に拡大を急ぐよう求める声と、物価上昇の中での生活余力や利用控えへの影響を慎重にみるべきだとする声が、並んだままである。
- 家族・利用者:今すぐ負担割合が変わるわけではない。結論が出るまでは、基準の数字を決まったものとして受け止めないことが大切である。
- ケアマネジャー:拡大が決まれば、負担増を理由にサービスを減らす相談が増える可能性がある。
- 事業者:利用控えが起きれば収入にも響くため、議論の行方を経営の見通しに入れておきたい。
まだ分からないこと
基準をいくらにするか、配慮措置をどうするかは決まっていない。上で挙げた数字は、過去の議論で示された選択肢であり、今回の決定事項ではない。